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働き方改革

「働き方改革」便乗コストカットにサラリーマンが漏らす嘆き節… もっと残業したい、もっとカネが欲しい (現代ビジネス) - Yahoo!ニュース

 

政府の働き方改革により、今後、労働者の残業時間が規制される見込み。現在は36協定さえ締結すれば、まさに青天井に残業させることが出来たが、将来は、そうはいかない。

 

そうなると困るのは”残業代”をアテにしている労働者だ。記事は次のように書く。

 

 政府は「働き方改革実現会議」で労働者の残業を年間720時間(月平均60時間)、繁忙期の上限を月100時間未満とする罰則付き上限規制案を決定した。

 彼らの進める「働き方改革」の背後には、経営側による残業代のカット―つまり人件費削減の魂胆が透けて見える。

 

至極もっともである。

働き方改革による残業規制で、残業代の浮いた分を、労働者の年収にまったく反映しないとすれば、だ。

 

日本電産の永守社長の言うように、残業代の浮いた分を、年収に反映していく人事制度にしていけば労働者からの不満も大きく出てこないのだが、徒に残業代をカットするだけでは、労働者から反発されるのも当然だ。

 

残業ゼロとCM展開 日本電産・永守社長“転向”の理由 | 文春オンライン

「過去に言ってきたことと全く違うことを言っている」

1月24日、決算説明会で自社の働き方改革についてこう語ったのが、日本電産永守重信社長兼会長(72)だ。

 最新のロボットやスーパーコンピューターを導入して製品の開発期間を短縮したり、業務の効率化のためのソフトウェアを導入して労働時間を短縮。一方で、残業代の減少分は賞与や手当の増額で補い、年収減にはしないという。

 

カルビーの「働き方改革」も凄い。この会社も残業時間規制がそのまま年収減には繋がらないケース。 

 

カルビーの“利益率が5年で10倍”を実現させた「働き方改革」とは? - リクナビNEXTジャーナル

 

「会社が変わり、お客さまが喜ばれ、売り上げや利益が上がる。そうすると、それが還元されて、リアルに自分たちの賞与が変わる。給与が増えるのは誰でもうれしいですから、こういう仕組みだと理解できていれば当然、モチベーションは上がります。トップのメッセージは極めてシンプルでわかりやすいんです

 

その他にも、インターネット上には、「働き方改革」によって生産性を高めている企業例がたくさん転がっている。現代ビジネスのように、労働者の不安を煽っているだけの記事は最悪である。

 

 

 

「働き方改革」が目指すべきは、現代ビジネスの記事のごとく、労働者年収減を狙うものではないはずなのだ。そもそも、残業規制によって残業代が減り、年収減になってしまっては、生産性の向上など望むべくもない。労働者が自律的に生産性向上を目指さねばならないが、年収減なら生産性向上など、労働者は「やらない」だろう。そんなことも分からない経営者は、人の扱いが分からないということになろうが、そこまで無能な経営者ばかりとも考えられない。

 

「生産性も上がって、年収も上がって」が一番良い訳だが、そこまでいかずとも、残業代が減ることがそのまま年収減に繋がらないようにしなければならない。それを考えるのが経営者なのだが、もし政府の方針の表面だけを見て人件費削減に繋がって良かったと考えるような経営者なら、無策に等しいと言わざるを得ない。

 

「働き方改革」により、人件費の総額を下げることなら、出来ると思う。生産性を向上させた労働者には高い年収を支払い、非効率な労働者には低い年収を支払う。

全労働者の残業代を一律にカットするなんてのはダメだし、逆に一律に上げるなんていう策もダメだ。人件費のパイはある程度決まっている訳で、それを大幅に上げたり下げたりしてはならない。というか、そんなことをする経営者っているかね?笑

 

 *

それにしても、最初の記事では、以下のような専門家の解説があるのだが、こんな程度の認識で専門家とは空しくなる。ただ不安を煽っているに過ぎない現代ビジネスの論調に歩を合わせているだけなのだ。

 

 神戸大学大学院経営学研究科准教授の保田隆明氏が解説する。

 「長時間労働を規制することで大きな打撃を受けるのは現場で働く人たちで、彼らの賃金カットにつながります。一般のサラリーマンの給与は残業代が大きなウェートを占めているのが現状です。こうした中で長時間労働を規制すると、大きな混乱を引き起こすことは避けられないでしょう」

 

 「大きな混乱」が出ないように経営者はどうすべきか、何か一言でも対応策をコメントすれば良いのに。もしかしたら策を練ったが現代ビジネスには削除されてしまったのか?仮にも神戸大の教員なのだから、その可能性はあるが、雑誌の趣旨もこの経営学者には伝わっているだろうから、恐らく大したコメントは言えていないのだろう。現代ビジネスの御用学者のようなものだ。

 

「大きな混乱」の中で、経営者は業績を上げるためにどうするのか。会社は人で成り立っている。残業代カット→年収減で、業績が上がるはずがないことくらい、考えることが出来る経営者なら分かるだろう。政府の残業時間規制を額面通り受け取って、しめしめとばかりに、労働者の残業代をカットするだけで事足れりとするようなら、そんな会社に未来はない!

 

 

とりあえず、労働者は自分の会社の「残業時間規制」がどのような仕組みとなるのか、注視しておこう。規制を額面通り受け取り、単に残業代を減らし、年収を下げるような会社なら願い下げ。転職しよう。それこそ会社の奴隷ではないか。

ソフトバンクがプレゼン手法を売るそうだが・・・

ソフトバンクが“孫社長流プレゼン手法”販売 社員が外部企業に出向きノウハウ指導 (SankeiBiz) - Yahoo!ニュース

 

ソフトバンク孫正義社長のプレゼン手法を外部企業に販売すると言う。記事によると孫社長のプレゼンは、「大きい文字やシンプルなメッセージで伝えることなどが特徴」で、知識レベルの差を問わないプレゼン手法である。

1スライド1メッセージ、1文字でも少なくなるべく大きな文字にする、色使いは2~3枚などという具体的な手法が盛り込まれているそうだ。

 

だがまあ、こんなことは例えば以下の本を読めば書いてあることで、真新しいものとはいえない。日本人が大好きなスティーブ・ジョブズのプレゼンの本にも似たようなことが書いてあった気がする。ジョブズの本は彼が死んだ後たくさん出版されビジネスに役立つものが多い。筆者も読んで実践しているが、読んだ人の中でプレゼンが上手く出来ない人は何をしているのか?

 

逆にこの程度のプレゼン手法を知らないビジネスマンはどういうプレゼンを行うのか、皮肉を込めて聞きたいくらいだ。ソフトバンクという高いブランド力があるから多少は売れるだろうが、プレゼン手法は既に書店に並んでいるのでそれを買って、あとは訓練を何度も繰り返す方が安上がりである。それが出来ない会社は、ソフトバンクからプレゼン手法を学ぶが良いだろう。

しかし、いかにソフトバンクのような企業から手法を教えてもらっても、訓練するのは自分である。知識だけを持っていても使わなければいつまで経ってもプレゼンは上手くならない。とにかく訓練が大事である。

 

 

 

 

外資系コンサルのスライド作成術―図解表現23のテクニック

外資系コンサルのスライド作成術―図解表現23のテクニック

 

 

ただし、文字とグラフだらけで見る気にもならないスライドを作る我が国の官僚の皆さまには、需要があるかもしれない。皮肉を込めて。

幻想を抱いて

トランプ氏、TPP「永久に離脱」 大統領令に署名 :日本経済新聞

 

米国のトランプ大統領が、「TPPから永久に離脱する」と大統領令(議会の承認を得ることなく、大統領が政府や軍に直接発令できる権限のことをいう)に署名した。米国の離脱表明でTPPの発効は文字通り絶望的になった。トランプは日経によると「日本との自動車貿易は不公平だ」と主張し、通商摩擦を再燃させたいかのようである。

 

TPPから永久に離脱すると大統領令に署名した通り、「再交渉」の可能性も消失する。これでTPP発効はとん挫してしまった。

 

しかし日米通商摩擦というありもしない幻想を物語るあたり、記事にある通りトランプの主張は時代錯誤なのだろう。トランプの政治を「ポスト真実(事実)」の政治だと言われる通り、自らの主張を裏付けるために、幻想を根拠に発言し続け、世界に悪影響を与え続けるトランプの手綱を引くことのできる側近は、米国政府にはいないのか。

 

俺はトランプが大統領選挙に勝利して、大統領に就任することが決まっても、少し楽観視していた。いくらトランプだからといって、一人で政治を取り仕切ることができるはずがない。だから側近の諫言に耳を傾け、主張を修正していく。そう思っていた。しかし俺の楽観的なもくろみは外れた。トランプは修正しない!そういうことだ。

 

トランプは1980年代の通商摩擦そのままの認識で大統領になっている。日本勢が米国で現地生産を進め、2006年(直近のピーク)より2015年の対米輸出は3割も減っている(上記の日経記事)。それでも米国で日本車のシェアが4割もあるのは、現地生産を行い、自由な経済の下で消費者が日本車を選択したという努力の結果だろう。

 

それなのにトランプは「日本との自動車貿易は不公平だ」と断じるのだから、いかに幻想を下に自己主張を正当化しているかが分かる。米国人有権者が、「そう思いたい」という幻想をトランプに託してしまったのは、仕方がない。民主主義なのだから米国人有権者にも責任があるが、しかし、ここまで酷く、未だに自己主張を修正せずに幻想を抱き続ける大統領に対しては、誰かが手綱を締めなければならない。それは側近であるべきだと思うのだが、どうだろうか?

 

ポスト真実については以下を参照するとためになる。俺のような素人と違って、学者の記事は面白い。

hibi.hatenadiary.jp

日本の人事部セミナー「本当の意味の働き方改革とは?」

日本の人事部「本当の意味の働き方改革とは?」というカンファレンスに申し込んだ。開催は、来年1月16日(月)である。

一人で行くので、もし行きたい人がいたら教えて頂きたい。共に参ろう♪(エッ?w)

 

第2回フレーム&ワークモジュールカンファレンス ≪前編≫ 【“本当の意味”の働き方改革とは?】 … - 『日本の人事部』

 

主催のベーシックにも「フレーム&ワークモジュール」にも関心はないのだが、労働生産性を高めるための働き方改革というテーマが面白そうなので申し込んだのである。

 

どうしても主催がベーシックなので、ベーシックの講演が入っているのが難点だが、それ以外の登壇者はなかなか良さそうだ。

 

経産省 大臣官房参事官(経済産業政策局担当)兼 産業人材政策室長

伊藤さん

講演は、「働き方改革・雇用人材政策をめぐる最近の動向について」
(人口減少下での働き方改革~「①労働時間規制と生産性向上」「②同一労働同一賃金」を中心に)である。

 

同志社大学 政策学部教授 太田さん

講演は、「分化で変わる組織と働き方」である。

 

太田教授の講演は「フレーム&ワークモジュール」的な講演のように思えるので、メインは伊藤さんだ。

 

jinjibu.jp

採用の仕事③経歴詐称

採用の仕事から離れて1年になるけれど、前職での採用で一番興味深かったのが、「経歴詐称」だね。

俺も採用の仕事をして8年近く経っていたが、経歴詐称に出くわしたのは後にも先にもこれっきりだ。経歴詐称はたまにマスコミが有名人を叩くための題材になるが、あんなものは早々ないと思ったんだ。ショーンKなんかが有名だよな。

 

そしたら現実に経歴詐称に遭遇したんだから、本当に驚いた。

 

www.excite.co.jp

 

その人が俺に経歴詐称を告白してきたのは、入社して数日経った頃だ。22歳くらいのモデル体型の美女で、事務職(有期契約)として入社した。非常にきれいだったのでつい何度も見てしまうような魅力のある女性だった。

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美女だが、事務職としては採用できないと思った。彼女は、大学は中退していて、その後は販売職を派遣でやっていただけで、フリーターのようなふらふらしたキャリアなんだ。何かしたいという目的がなく、たまたま家から近いから採用試験を受けにきたというレベル。新卒で説明会にくる同年代の女子学生と比べても頼りない人だという印象を持ったね。

事務経験がないし、筆記試験の点数も悪かったから、これは不合格だなと思っていたら、社長が内定を出しやがった。社長の一声で何でも決まるような会社だったが、こういう人を採用するってどういう神経してんだ?と思ったけど、文句を言えば怒鳴ってくる社長だったから入社手続きを始めた。

 

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性格が明るいし、美人で背が高いので、年の離れた俺でも魅惑されるような人ではあった。でもあまり人を騙したり、欺いたりするような人ではないとは感じていた。魅惑される男はいるだろうが、本人は「えっ?そこまであたしフェロモンを振りまいてた?」くらいの気持ちを持つだろう。そのくらい成熟には程遠く、幼さの残る女性だった。

入社してみて数日間は仕事の引き継ぎをしっかりやっていた。根はまじめなのか、仕事を教える社員も彼女はまあまあだと言っていた。

 

でも数日経って彼女は急に人事の俺のところに来る。デートのお誘いにしては急過ぎるし、顔つきが硬くて思い詰めているので、何か別の用事だと察した。

別室に彼女を通して話してみると、実は経歴詐称をしてしまいました、とのこと。人を騙したり欺いたりするような人ではないと思っていたのに、なんだってそんなことをするんだ?と理解が及ばなかった。それもそのはず、経歴詐称をするなら他者に指摘されるまで黙っているものだろうに、彼女は自ら経歴詐称をしてしまいましたと告白してきたのだ。だから、彼女は、確かに会社に対して偽った履歴書を提出してしまった。それを元に採用されてしまった。その罪悪感に耐えきれずに告白したのだろう。

 

具体的には、販売員としての仕事はしていたものの、入社までの直近半年間は販売員ではなくパチンコの仕事をしていたというのだ。それならそれで言えば良いものを、「パチンコ屋で働いていた」ことが恥ずかしくて言えず、販売員として働いていたことにしてしまったらしい。

しかし、そんなことが本当にあるのか?と思った。

パチンコ屋で働くことが恥ずかしい?

確かに見てくれが良い仕事ではないだろうが、風俗で働いていた訳でもあるまいに、正直に言うべきだと思うのだが。風俗云々は言わなかったが、パチンコ屋で働いていたことは正直に言ってもおかしくないとは言っておいた。

確かにパチンコ屋勤務は印象が悪い。それだけで書類で落とす企業も多いだろう。しかしパチンコ屋での勤務経験があるからって、どこにも入社できない訳ではない。リスクをおかしてまで入社するくらいならパチンコ屋勤務でも受かる企業との出会いを探すべきだった。

 

当然彼女は解雇になるだろうと思った。俺は彼女を積極的に落とそうと思わないが、元々の不安が的中したと思ったから解雇されるべきだと思った。

 

結局、社会に対していい加減な気持ちで臨んでいるんだよ。だからちょっとくらい良いか、くらいの軽い気持ちで履歴書を改ざんしちゃう訳。そして入社しちゃったもんだから慌てちゃって、やっぱり黙っておけない、経歴詐称を告白しよう、となったのである。

もう、やっていることが適当の一言だ。そもそも採用すべき人材ではんかったのだ。

 

そして俺は社長に事の事実を報告して、解雇(契約解除)ですねと言ったら、「まず話を聞こう」となった。あ、これは解雇しないなと直感したね。こいつ、またかよと思ったぜ。またワンマンぶりを発揮して感覚で経営する手腕を発揮するんだろと。

案の定、その美女は履歴書を書き直すことでことなきを得た。まさか!と思うと共に、この会社ならそういうことをするかとも思った。経歴詐称をする人間は仕事にも適当な姿勢で臨む。どこで似たような愚行を犯すか分からない。というリスクを排除せずに雇用を続けるんだね。 

俺は経歴詐称よりも解雇しなかったことに驚いた。まぁ、そういう会社なんだなって諦念のようなものが芽生えたね。書き直しをさせるなんてね。書類上の虚偽を書き直しで決着させる会社ということが分かったから、本当に開いた口が塞がらなかったよ。

有期契約ということもあるし、契約書にも経歴詐称についての文言もうたっているのに鶴の一声でこういう結果を招いてしまう。

 

という訳で経歴詐称をした人に出会ったのは後にも先にもこれっきりなんだけれど、数ヶ月前に経歴詐称で話題になった有名人の報道を思い出すにつれ、現実に俺も経歴詐称に出会ったよなぁ~と思い返すばかりだったのである。