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国家についての考察

「国家についての考察」を読んでいる。
手始めに一章まで読んでみた。

本書は佐伯啓思の12年前くらいの評論である。
内容は、政治思想評論というべきものである。

一章を読んでみて、彼の本を読むのも10年ぶりくらいになることを思い出した。
昔は割りと彼の本を読んでいたが、最近は意味もなく遠ざかっていたことを悔やまれる思いがした。

一章は、「日本の戦後は、国家意識を排除することによって成立した」という(ちょっと俺流にシンプルな表現にしてみたがw)文章で終わる。
日本の戦後においては、保守派だろうか進歩派だろうが、国家というものに対して、きちんと考えてこなかった。

国旗・国歌を法制化するにあたって、法制化を推進する側(保守派)は、国家意識を「記号」化し、反対する側(進歩派)は、法制化に対してナショナリズムという「記号」を貼り付けることで議論を封殺してしまったのが、その証左である。
推進しようが反対しようが、国家の問題(国家のうちにある精神的問題)を、記号操作に解消してしまったということで、佐伯は戦後の保守派も進歩派も、共に批判しているのだ。

国家とは何か・・・それについてきちんと議論する前に記号化されてしまっては、日本人にとって国家とは何か分からないままである。
確かにそうかもしれない。
国旗・国歌の法制化については、俺は「良いこと」だと思ってきた。
しかし、日本人にとっての国家とは何か、グローバリズムの荒波の中でいよいよこの概念が日本人の中で、批判的であれ肯定的であれ、論じ尽くされなければならない時期に来ているのに、議論も盛り上がることなく国旗・国歌を法制化して、それで良かったのか・・・

まあそんなことを考えさせられるだけでも、一章を読んだ甲斐があるというものだ。

最後まで読んだら改めて感想を書いてみたい。