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ももでちっそく

書評・映画レビューが多くなってきましたが、雑記ブログです。口が悪いので酷評することも多いです。すきなひと、さーせんね。

【書評】 沈黙 著者:遠藤周作 評価☆☆☆☆☆ (日本)

遠藤周作の『沈黙』を読んだ。

ストーリーが面白くて5時間くらいで読めた。文庫本で290頁くらいの小説なのだが。

結果、遠藤周作は、W.バロウズやピンチョン、谷崎潤一郎三島由紀夫等と共に俺の好きな作家になりそうだ。だって、もっともっと読みたいと思うもん。『白い人・黄色い人』『海と毒薬』なんかも読んでみたいと思ったね。新潮文庫の遠藤作品を制覇しようかなぁ!?

30年以上生きてきて遠藤周作の小説を読んで来なかったのがもったいないと思うくらい、この小説は良かった。敬虔なキリスト教徒の物語なんだが、これを書いたのが日本人作家ということに驚く。

 

■スコセッシ映画の原作として

最初は軽い気持ち・・・そう、窪塚洋介がキチジロー役で出演する『沈黙』(M.スコセッシ監督)という映画の原作だから読んだんだ。来年公開予定だから、「まぁ読んどくか」くらいの。あとは、「キリスト教に関心があるから読んだ」程度の理由だね。

 

まあ俺は窪塚洋介ファンなので、キチジローが出てくる度に窪塚を念頭に置いていた。最初から最後までキチジローが出てくるのは驚いた。こんなに出演シーンが多いのか窪塚は?もし原作に忠実に、スコセッシが描くならば、だが。

しかしキチジローがいなければ『沈黙』の物語は成り立たないので、おそらく出演シーンは多いだろう。それだけキチジローという人物は、物語の中核的な存在なのである。

 

だけれど、最後まで読むと、軽い気持ちで読んだ本作が非常に素晴らしい作品であることが分かったよ。

 

 ■あらすじとテーマ

時代は島原の乱鎮圧後、日本におけるキリシタン弾圧が凄まじかった時代を描く。

日本で布教していた神学者フェレイラが、棄教したとローマに知らせがある。その事実を突き止めたいセバスチャン・ロドリゴ司祭(ポルトガル人)は、同僚のガルペと共に日本の長崎を訪れる。そこで一端はキリシタンたちに歓迎される。しかし次第に長崎奉行所に追われるようになり、ガルペは日本人キリシタンと共に命を落とす。

逃亡するロドリゴは、元キリシタンだった日本人キチジローの裏切りにより、遂に奉行所に捕えられてしまう。その前後にも次々と日本人キリシタンは処刑されていく。

奉行所ロドリゴに、ただ一言「転ぶ(=棄教する)」と言ってくれれば良いという。「真意では転んでいなかった」としても。そうすれば、キリシタンたちを処刑しないでおくから。しかしロドリゴにとっては、転ぶか転ばないかが重要である。

 

神はいつまで沈黙するのか。

なぜ神を崇めるキリスト教徒を、いつまでも放っておくのか。

キリスト教徒への迫害と、神の沈黙という、世界史的に古くて新しいテーマを、ロドリゴ司祭・日本人キリシタン・そしてフェレイラを通してドラマティックに描く。

 

■棄教して、尚崇められる神とは?

種明かしをすると、フェレイラは本当に棄教しており、日本で日本名を名乗り、行政に監視されながら暮らしている。

最初はフェレイラを軽蔑するロドリゴだが、彼も、遂に棄教してしまうのだ。理由は前項に書いたように、日本人キリシタンの命を救うには棄教するしかないからだった。

それでも尚棄教することにためらいがあったのは、棄教することで「信仰」さえも失ってしまうのではないか?という不安があったからである。

 

しかし棄教する時(踏み絵を踏まされるのだ)、ロドリゴは感じる。

踏み絵を踏む時の強い痛みを感じる。

そして強い痛みは、キリストもロドリゴと共に感じているとロドリゴに教えてくれる。

キリスト(ここでは神とイコールのような存在)は常にロドリゴと共にいる。決して神は沈黙などしていないのだ。

キリストが処刑される前のゴルゴダのシーンも何度か想起される。キリストもこのような苦しみであっただろうか。

 

そして物語の結末、ロドリゴは棄教しても尚神を崇める、愛する信仰を失っていない自分に気付く。

 

 ロドリゴは悟る。

「自分は彼等(※聖職者たちのこと)を裏切ってもなおあの人(※キリストのこと)を決して裏切ってはいない。今までとはもっと違った形であの人を愛している。私がその愛を知るためには、今日までのすべてが必要だったのだ。私はこの国で今でも最後の切支丹司祭なのだ。そしてあの人は沈黙していたのではなかった。たとえあの人は沈黙していたとしても、私の今日までの人生があの人について語っていた」と。

 

結局、ロドリゴが拘っていたのは形式に過ぎない。本当に重要なことは真摯な信仰である。

棄教することで神への信仰がなくなる訳ではないのだ。

俺が引用したこの文章を何度も読んでいると目頭が熱くなる。俺はキリスト教徒ではないが、人間が命をかけて守るもの、その姿を見れば涙する。そう、この『沈黙』で何度も出てくる表現、「白い泪」を俺も流したくなるのだ。

 

おっ、スゲー良いこと言ってる俺ww

ってくらいに結構感動したんだよね♪

 

よーし、来年公開のスコセッシの『沈黙』、俺は絶対映画館で観るぞ!!

 

沈黙 (新潮文庫)

沈黙 (新潮文庫)