好きなものと、嫌いなもの

書評・映画レビューが中心のこだわりが強いブログです

相棒はもうダメだ

『相棒14』の劣化が止まらない。原因はキャストの反町隆史ではなく、水谷豊でもなく、脚本だ。

反町が冴えなくみえるのは、彼の役の上での設定がイマイチだからだ。法務省からの出向者で、警視庁の捜査の仕事ができる訳がない。エリート官僚からの相棒は、及川光博が演じた神戸のように、警察庁からの出向者でないとリアリティがない。

神戸なら、捜査上の蘊蓄を語れたけれど、法務省の冠城(反町隆史)では、何の経験もないし、完全に畑違いだから何も語れない。だから、杉下(水谷豊)が言うように、冠城は単なる同居人なのだ。

だが、俺たち視聴者が、単なる同居人を見せられてはたまったもんじゃない。冠城の存在価値が分からなくなる。いる意味が分からない。

それでも、反町隆史がもう少し演技者なら良いが普通の俳優で、存在感がある訳でもないので、見ていて邪魔なだけである。不必要にコミカルな演技をさせられているが、存在価値が分からないから、違和感が残るばかりだ。

そして、ストーリーも面白くないものが多い。14が始まった頃に放送された、冠城の知人のストーリーなどに象徴されるが、冠城が、亡くなった知人の首吊り自殺を疑った動機が、木の枝の切断面が綺麗に切られていたからとは、おふざけが過ぎる。そんな初歩的なミスを警察が犯す訳がない。『サイレーン』でも違和感を覚えたのだが、警察を無能に描く描写が散見されるのが、日本のミステリードラマだ。こういったところに、リアリティを感じなくなるのだ。

冠城が活躍しないストーリーも多い。もはや杉下の独壇場だ。最近放送された元旦スペシャル版も、無理矢理、冠城を活躍させようと試みているが、神戸のように捜査官としての能力がない冠城では、杉下を出し抜くことはおろか、互角にも渡り合えない。文字どおり単なる同居人なのだ。

相棒13もずっとイマイチなストーリーが続いていたが、ラストで止めを刺された感じがした。もう、良いストーリーは相棒の脚本家たちには、書けない。

こんなにつまらなくなった『相棒』シリーズにお付き合いするのは、もう辞めた。次回からは見ない。せいぜい、スペシャル版くらいに留める。

しかし、できることなら、さっさと完結してもらいたいのが元ファンとしての最後の願いだ。かつては夢中になって見ていたドラマだ。見ていない時に、ストーリーを誰かに言われたくなかった。でも今の駄作ぶりを止めるのは至難の業だから、早く完結して天寿を全うして欲しい。早く止血しないとこのドラマは自爆する。

本当に酷い作品に堕してしまった。