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【書評】 本当に「使える人材」を見抜く採用面接 著者:細井智彦 評価☆☆☆★★ (日本)

リクルートキャリアで面接コンサルをしている、細井智彦の面接指南書。新卒のことも記載されているが、メインとなるのは中途採用面接のノウハウだ。

 

細井の経歴は、「6000人の転職希望者を内定に導いた」、「企業面接官向けセミナーで1500人以上を指導した」という、人数の規模を誇る。数に瞠目させられるので、実態を知りたくなるものだが、果たしてその欲望を満たす内容になっていた。この本は一度読んだことがあるのだが、内容が良いので今日になって再読した。

 

■企業も応募者から「選ばれる」時代

本書は、細井自身が企業の人事担当者に対するセミナーの実績があるだけあって、人事(面接官)自体が変革しなければならない、という気概を感じる本である。「取ってやる」「採用してやる」という態度ではダメだ。企業も応募者(学生、転職希望者)から「選ばれる」のだという認識を持つことが重要だ。

だが、往々にして面接官は「選ばれる」という認識を忘れがちである。細井が最後の方に述べていたのだが、面接もビジネスの場なのだという感覚を持たなければならない。

 

■採用面接とは? 

採用面接とは何か?面接とは企業が応募者を選ぶことだけではない。応募者が企業を選ぶことも含めて面接なのである。

確かにその通りだ。企業がこの応募者のことを気に入ったとしても、応募者が企業を選ばなければ採用活動は失敗だ

 そしてもう1つ重要なのが、応募者に嫌われないことである。インターネットで誰でも発言できる時代である。下手な態度を応募者に取って、ネットで企業の悪口を書かれないとも限らない。企業のイメージダウンを防ぐためには、応募者に嫌われる態度は慎むことだ。

 

■御社にとって本当に必要な人材は?

俺も経験があるのだが、人事部なのに、自分の会社にとって必要な人材は何かを、具体的に語れないことがある。それがもし採用担当者だったらマズい。具体的に語り得ないのに人を採用していたら、”感覚”で採用することになってしまう。

戦略的な人事が求められている時代に、感覚で人材を採用していたら経営の方向性に見合わない人が増えてしまう。

だからせめて、人事部内では、具体的にこういう人材が欲しいという合意形成をしておくことだ。そしてできることなら、他部署も巻き込んで合意形成をしておく。なぜなら、人事部はしょせん人事部であり、他部署のことは分からないからだ。しかし採用したい人材が配置されるのは、人事部だけとは、限らないだろう。

だからこそ、他部署とも話をして、こういう人材が欲しいという意見をもとに、人事部内で合意形成をしておく。その上で面接に臨めば、今までよりずっと良い人材を採れるはずだ。

 

■誰でもすぐに「面接力」が上がる方法・・・?

この章はイマイチだった。

確かに、具体性に富んだ内容ではあるのだが、読者の印象に強く残るように、抽象的な言葉を選んだ上で議論を展開した方が良い。

本書独自の言葉を「創る」と、独創性が高くなるし、何より読者の印象に残ると思うのだが。

 

「見抜く」「引き出す」「ホンネを語らせる」テクニックが紹介されていて、示唆に富んではいるのだが、具体的過ぎて応用が効かない。

「見抜く」で言えば、経験を5W1Hに分解して確認・・・とあり、これが本書の独自の言葉ではあるのだが、応用するには弱い。これぞ本書!と思えるような独自の言葉を創った方が良かった。あるいは、独自の方法論を創るのでも良いのだが。

 

俺が印象に残ったのは上記のポイントだった。

 

本書で言わんとしているのは、面接官の襟を正す、そこまで言わなくても、面接官の面接の方法論を見直す一助にはなる。そういう意味で、なんとなーく面接している人、なんかうちの会社の面接のやり方ってヘンじゃない?と思っている人は、本書を手に取って欲しい。

上記で書いたように、面接官に対して気付きを与える程度の内容なので、理論的な個所はほとんど見られない。そういう意味では、著者の面接の方法が一般化できるか?というと、そこまでではない。

著者もあとがきで書いているように、面接では基本となっていること、当たり前となっていることが書いてある。しかし、面接官は、それを実践できているのか?「いや、ちょっと不安だな」と思う人は、良い助けになると思う。

 

 

「使える人材」を見抜く 採用面接

「使える人材」を見抜く 採用面接