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ももでちっそく

書評・映画レビューが多くなってきましたが、雑記ブログです。口が悪いので酷評することも多いです。すきなひと、さーせんね。

採用の仕事③経歴詐称

採用の仕事から離れて1年になるけれど、前職での採用で一番興味深かったのが、「経歴詐称」だね。

俺も採用の仕事をして8年近く経っていたが、経歴詐称に出くわしたのは後にも先にもこれっきりだ。経歴詐称はたまにマスコミが有名人を叩くための題材になるが、あんなものは早々ないと思ったんだ。そしたら現実に経歴詐称に遭遇したんだから、本当に驚いた。

 

その人が俺に経歴詐称を告白してきたのは、入社して数日経った頃だ。22歳くらいのモデル体型の美女で、事務職(有期契約)として入社した。非常にきれいだったのでつい何度も見てしまうような魅力のある女性だった。

美女だが、事務職としては採用できないと思った。彼女は、大学は中退していて、その後は販売職を派遣でやっていただけで、フリーターのようなふらふらしたキャリアなんだ。何かしたいという目的がなく、たまたま家から近いから採用試験を受けにきたというレベル。新卒で説明会にくる同年代の女子学生と比べても頼りない人だという印象を持ったね。

事務経験がないし、筆記試験の点数も悪かったから、これは不合格だなと思っていたら、社長が内定を出しやがった。社長の一声で何でも決まるような会社だったが、こういう人を採用するってどういう神経してんだ?と思ったけど、文句を言えば怒鳴ってくる社長だったから入社手続きを始めた。

 

性格が明るいし、美人で背が高いので、年の離れた俺でも魅惑されるような人ではあった。でもあまり人を騙したり、欺いたりするような人ではないとは感じていた。魅惑される男はいるだろうが、本人は「えっ?そこまであたしフェロモンを振りまいてた?」くらいの気持ちを持つだろう。そのくらい成熟には程遠く、幼さの残る女性だった。

入社してみて数日間は仕事の引き継ぎをしっかりやっていた。根はまじめなのか、仕事を教える社員も彼女はまあまあだと言っていた。

 

でも数日経って彼女は急に人事の俺のところに来る。デートのお誘いにしては急過ぎるし、顔つきが硬くて思い詰めているので、何か別の用事だと察した。

別室に彼女を通して話してみると、実は経歴詐称をしてしまいました、とのこと。人を騙したり欺いたりするような人ではないと思っていたのに、なんだってそんなことをするんだ?と理解が及ばなかった。それもそのはず、経歴詐称をするなら他者に指摘されるまで黙っているものだろうに、彼女は自ら経歴詐称をしてしまいましたと告白してきたのだ。だから、彼女は、確かに会社に対して偽った履歴書を提出してしまった。それを元に採用されてしまった。その罪悪感に耐えきれずに告白したのだろう。

 

具体的には、販売員としての仕事はしていたものの、入社までの直近半年間は販売員ではなくパチンコの仕事をしていたというのだ。それならそれで言えば良いものを、「パチンコ屋で働いていた」ことが恥ずかしくて言えず、販売員として働いていたことにしてしまったらしい。

しかし、そんなことが本当にあるのか?と思った。

パチンコ屋で働くことが恥ずかしい?

確かに見てくれが良い仕事ではないだろうが、風俗で働いていた訳でもあるまいに、正直に言うべきだと思うのだが。風俗云々は言わなかったが、パチンコ屋で働いていたことは正直に言ってもおかしくないとは言っておいた。

確かにパチンコ屋勤務は印象が悪い。それだけで書類で落とす企業も多いだろう。しかしパチンコ屋での勤務経験があるからって、どこにも入社できない訳ではない。リスクをおかしてまで入社するくらいならパチンコ屋勤務でも受かる企業との出会いを探すべきだった。

 

当然彼女は解雇になるだろうと思った。俺は彼女を積極的に落とそうと思わないが、元々の不安が的中したと思ったから解雇されるべきだと思った。それはつまり、前半で書いた↓の部分が不安の中身である。

”彼女は、大学は中退していて、その後は販売職を派遣でやっていただけで、フリーターのようなふらふらしたキャリアなんだ。何かしたいという目的がなく、たまたま家から近いから採用試験を受けにきたというレベル。新卒で説明会にくる同年代の女子学生と比べても頼りない人だという印象を持ったね”

結局、社会に対していい加減な気持ちで臨んでいるんだよ。だからちょっとくらい良いか、くらいの軽い気持ちで履歴書を改ざんしちゃう訳。そして入社しちゃったもんだから慌てちゃって、やっぱり黙っておけない、経歴詐称を告白しよう、となったのである。

もう、やっていることが適当の一言だ。そもそも採用すべき人材ではんかったのだ。

 

そして俺は社長に事の事実を報告して、解雇(契約解除)ですねと言ったら、「まず話を聞こう」となった。あ、これは解雇しないなと直感したね。こいつ、またかよと思ったぜ。またワンマンぶりを発揮して感覚で経営する手腕を発揮するんだろと。

案の定、その美女は履歴書を書き直すことでことなきを得た。まさか!と思うと共に、この会社ならそういうことをするかとも思った。経歴詐称をする人間は仕事にも適当な姿勢で臨む。どこで似たような愚行を犯すか分からない。というリスクを排除せずに雇用を続けるんだね。 

俺は経歴詐称よりも解雇しなかったことに驚いた。まぁ、そういう会社なんだなって諦念のようなものが芽生えたね。書き直しをさせるなんてね。書類上の虚偽を書き直しで決着させる会社ということが分かったから、本当に開いた口が塞がらなかったよ。

有期契約ということもあるし、契約書にも経歴詐称についての文言もうたっているのに鶴の一声でこういう結果を招いてしまう。

 

という訳で経歴詐称をした人に出会ったのは後にも先にもこれっきりなんだけれど、数ヶ月前に経歴詐称で話題になった有名人の報道を思い出すにつれ、現実に俺も経歴詐称に出会ったよなぁ~と思い返すばかりだったのである。