【書評】 コミュニケーション重視の目標管理・人事考課シート集 著者:日本経団連出版 評価☆☆☆☆☆ (日本)
事業会社の人事をしていた頃、自社の人事考課制度を改定するにあたって、参考にしていたのがこの書物だ。何と値段は4,000円もする。
しかし人事考課制度を改定するにあたって、他社の事例を参考にしたい場合、それをビジュアル的に”シート集”として一望したい場合、本書は大変参考になる。読めば読むほど、参考になる個所が多く、参考と言うよりもむしろ、「参照」と言いたくなるほどである。行き過ぎると「模倣」になってしまうが、それだけ好例が多いということだ。従って4,000円という定価はコストに見合った価格ということになる。
掲載されている企業例は、第一生命保険、住友林業、JT、神戸製鋼、昭和電工、大丸松坂屋百貨店のような有名企業から、スーパーホテル、モロゾフのような中堅企業まで掲載されている。
俺が人事をしていた企業は中堅企業だったから、参考にしたくなるのはスーパーホテル、モロゾフか、というと、必ずしもそうではない。大企業であっても、参考になる例はいくらでもある。
印象に残っているのはミシンで有名なブラザー工業のシート。これは行動評価シートという名称で、俺の会社はコンピテンシーを導入していたから、コンピテンシーごとの点数の付け方がシンプルで非常に参考になった(係数によってコンピテンシーの難易度ごとに点数のウェイトを付けていく。係数があるから付ける点数は100点でも10点でも分かり易い点数で統一できる。係数によって合計を統一すれば良い。この考え方は応用できた)。
現在の人事コンサル業務でも、この書物の好例は、時折参考になっている。とはいえ、コンサルタントには当然と言われる内容が多いかもしれないし勤務先にもあるだろう”シート集”の方が、より実践的だろう。人事担当者には、必携と言って良い。