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ももでちっそく

書評・映画レビューが多くなってきましたが、雑記ブログです。口が悪いので酷評することも多いです。すきなひと、さーせんね。

ヒロシの変わらない生き方


かつて月収4,000万円を稼いだ芸人のヒロシ。日テレの「エンタの神様」にも出ていて、一度見たら忘れないホスト風の外見、哀愁漂う「ガラスの部屋」のBGM、自虐ネタなどの要素があって売れたが、最近見ない。ネタ番組をやるバラエティが減ってしまって、トークができないヒロシは徐々にテレビから姿を消していく。

 

そんな彼は、俺は結構好きだった(たけしとかヒロミとかのようにトークができる芸人が好きだというのとは別の意味で)。

自虐ネタも良いが、彼の弱さ、もっというと枯れた感じが好きだったのだ。イケメンではないものの、ホスト風なので見てくれは悪くない。清潔と言うほどではないが、汚い感じはしない。

 

でも、一番良いのは枯れた感じがするところなのだ。何かこう、人生に疲れたような印象を受ける。芸人は皆ガツガツしている訳ではないのだなと、ヒロシを見ていると感じさせられる。

 

ヒロシを特集したリンクの記事によると、「再ブレークはしたくない」のだそうだ。かつて4,000万円の月収を稼ぐと、その栄光を再び味わいたいのかと勘繰ってしまうが、彼は違う。

 

「枯れた感じ」が好きだと俺は言ったが、ヒロシの生き方はぶれない。お金はないと困るし、風呂なしの生活を送ったことがあるヒロシは、芸能界で売れて、風呂ありの部屋に引っ越せて良かったと言う。

 

4000万円入って何がうれしかったかというと、お風呂のある家に住めたこと。月収7万円で住めるところには、お風呂なんてついていないのです。家にあると、いつでも自分の好きなタイミングで風呂に入れるんですよ。それが一番うれしかった。

 

次のようにも言う。

 

ただおカネが欲しい、上昇したいというのではなく、自分が大事にしたいことができるかということが、本当は大事なのではないかと思います。だから、また再ブレークという気配があったら、僕はかえって休んでしまうのではないかと思います。しんどいし、普通の生活ができなくなるし。

 

現在は手取り60万円ほどの生活を送っているヒロシ。贅沢はできないが、これ以上お金をもらえるようになるには、仕事をしなければならないが、彼は、「自分が大事にしたいことができるかということ」が大事だと思っている。だから、それを犠牲にしてまで、稼ぎたいとは思わないのだろう。

 

ここにも彼が月収4,000万円の過去の栄光にしがみつかずに芸能界で生き、しかも生活できないレベルではなく、まあまあの収入をもらって生きていることの特異さがある。

 

そう、特異さ、だ。

 

仕事で成功するとか、芸能界でトップになるとか、冠番組を持つとか、そういった仕事にかけるエネルギーよりも、「自分が大事にしたいことができるかということ」を大事にするヒロシの仕事観は、特異であろう。しかし、特異なのは芸能界にいるからだ。

 

普通の世界では、そういう人も出てきているし、そういう生き方を求める人もいる。著述家のphaなんかもそうなんだろうけれど、無理をしない生き方、人生を仕事に依存させない生き方というのは、バリバリ仕事をする生き方、滅私奉公みたいな企業に隷属する生き方とは真っ向から対立する。

しかしながら誰しもバリバリ仕事をする生き方などできる訳がない。無理にそんな生き方を自らに強いて、うつ病にでもなったらたまったものではない。人生は仕事のためにある訳ではなく、畢竟、自分のためにあるのだ。無理をせず仕事に依存させず、自分のために生きること。それは生命を長く保つための有益な選択肢の一つである。ヒロシの仕事観からなんとなくそんなことを思った。