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【映画レビュー】 バトルシップ 評価☆☆★★★ (2012年、米国)

 

バトルシップ [Blu-ray]

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製作費2億ドルもかけた超大作SFアクション映画。しかし全世界の興行収入は3億ドル程度と、製作費に比して大ヒットとは言い難い興行成績だ。日本では浅野忠信が出演していることもあり、14億円程度のヒット作となっている。リーアム・ニーソンも出演しており、『沈黙』以前に浅野とニーソンが共演していることを知った。

 

予め、ラジー賞に他部門でノミネート、また、ローリングストーン誌を始め、批評家から酷評されていることを知っていたので、単に浅野を見るためだけに鑑賞。

 

本作はユニバーサル映画100周年記念作品であり、また、そういうハリウッドの大作映画に浅野が出演したという事実は面白いが、映画は面白くない。浅野忠信には、もう少し面白い映画に出演して欲しかった。

本作でのパフォーマンスもそれほど良くはない。浅野の登場シーンは、冒頭から良くない。日米対抗のサッカー試合で出て来るのだが、主人公のライバルとしてのポテンシャルを示すために、やや威嚇的に主人公に対するのだが、どこの馬の骨ともわからないアジア人が調子に乗っているようにしか見えない。何だか、高校生までずっと陰気だった癖に大学デビューすると級に快活な振りをして周りとコミュニケーションを取りたがる男みたいだ。

浅野は声がこもっているので、快活な役柄はあまり得意としない。『私の男』のような陰惨で狂気的な役柄は巧みに演じるし、あるいはテレビドラマだが『ロング・グッドバイ』のように裏社会と表社会の接点にいるような探偵役を自然に演じるのだが、本作のように主人公のライバルとして露骨に対照的なパフォーマンスを見せる役柄は不得手である。

 

ラストサムライ』や『インセプション』のような良作に出演した渡辺謙に比べると、ハリウッド映画に関しては、浅野は、作品選びが悪かったように思う。とはいえ、最近の『沈黙』は悪い映画ではないし、浅野自身も良い演技を見せていたので結果オーライか。

 

日本では『バトルシップ』のファンがいて、彼らをバトルシッパーと呼ぶという。みうらじゅんのようなB級映画を偏愛するファンなのだろうか。確かに、B級映画的な面白さはあるようだ。特に機械のようなエイリアンは、金を徹底してかけながらもデザイン性にかけ、非常にチープだ。金をかけながらチープなデザインしか描けないというのは、往年のB級映画インデペンデンス・デイ』を思い起こさせるだろうか。

 

ただ、俺にはそういう楽しみは出来ないので、本作も高い評価を与えることは出来なかった。