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【映画レビュー】 グラディエーター 評価☆☆★★★ (2000年 米国)

 

グラディエーター [Blu-ray]

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将軍マキシマス(ラッセル・クロウ)が、皇帝コモドゥスホアキン・フェニックス)から逃れてグラディエーターとなり、皇帝を倒すまでを描いた歴史大作。アカデミー賞作品賞および主演男優賞を受賞した他、監督のリドリー・スコットやフェニックスもオスカーにノミネートされた。筆者はフェニックスのファンである。

マキシマス役のクロウは、筋肉はあるが少し体が小さい印象。痩せているとは言わないが、細マッチョの体型であり、迫力にやや欠ける。日本人的な体型。

 

ということで観てみたのだが、ストーリーに粗が目立ち最後まで楽しむことが出来なかった。前皇帝を殺害したコモドゥスに反旗を翻すために、コモドゥスの握手を拒んだことで、マキシマスは、死刑を宣告され、子どもを殺され、妻はレイプされた上に殺害されるのだが、握手を拒まなければこんなことにならなかったのでは?なぜこのような激情に駆られてしまったのか、政治的なセンスが全くない振る舞いにイライラさせられた。

 

また、死刑から逃れるシーンも、あまたあるアクション映画の焼き直しで見るべくもない。死刑という、もはや死ぬしかない極限の場面で、どのように逃げるかが要点だが、兵士が愚鈍でこれなら確かに逃げられるだろうという状況だ。黒澤明の時代劇の主人公みたいに、剣の達人だということが如実に分かるような演出(『椿三十郎』とか)を見せてくれれば納得感もあるのに。

 

当初は、皇帝コモドゥスの目から逃れていたマキシマスだが、グラディエーターとして皇帝の目の前に出てしまうと、早々に正体がバレてしまう。何でバレてしまうような設定にしたのか理解に苦しむ。バレないようにグラディエーターとして勝ち進んでいって、最後の最後で正体が暴かれるというなら、スリリングな展開で評価出来るのだが、これではダメだ。いつ正体が皇帝に知られるか・・・知られたら最後、殺されるという緊張感がない。

 

正体が暴かれて、皇帝がマキシマスを殺そうとすると、大衆が反対して殺せない。仕方なくその場を去る皇帝だが、その後でいくらでも殺せる場面を作れるはずなのに、全然殺さない。脚本家、出て来い!こんな幼稚なストーリーでよくアカデミー賞作品の栄誉に与ったものである。

 

そして、最後に、『グラディエーター』というタイトルそのままに、皇帝コモドゥスと、将軍マキシマスの決闘が、聴衆に見られる中で行われるのだが、こんなことがあるのか?殺される可能性のある戦いを敢えてやる皇帝なんているのだろうか?コモドゥスは狂人であるが、政治家として抜け目の無いところがあった。だが、彼の設定はストーリーの犠牲になってしまった。もちろん、コモドゥスはマキシマスに敗れて、死ぬ。なんだこりゃ。

 

この映画で良いのは、ラッセル・クロウの熱演と、ホアキン・フェニックスの狂人的な演技である。複雑な性格を演じたフェニックスのパフォーマンスの方が良かったが、アカデミーはクロウにのみ、オスカーを与える。

アメリカ人は、下から這い上がって勝つ人間像が本当に好きなようだ。いや、もちろん筆者も好きであるが、こんないい加減なストーリーでは、下から這い上がれるとは思えないから、評価は出来ない。

戦闘シーンも評価が高いようだが、剣の打ち合いの効果音がキンキンと安っぽく、日本の時代劇ドラマを見ているようだ。