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【映画レビュー】 キック・アス 評価☆☆☆★★ (2010年 米国、英国)

冴えない高校生デイブが、悪党どもを倒そうと、アメコミのヒーローとなって立ち上がる。『スーパー!』に似ているが、『スーパー!』よりは多少面白かった。監督はマシュー・ヴォーンで、『レイヤーケーキ』と『キングスマン』の監督も務めた人物。『レイヤーケーキ』は退屈だ。そして『キングスマン』さえ、私は余り評価しないが、本作も同様。酷評はしないが至って普通。

デイブはアメコミオタクで、悪党を倒すためにコスチュームを着るが、格闘技の経験がある訳ではないので、大して強くない。平凡な高校生だから当たり前である。だからよくやられる。キック・アスというのはデイブのヒーローとしての名前だ。

デイブと対照的に、本物のヒーローも存在する。小学生の女の子ヒット・ガールと、その父親ビッグ・ダディだ。ビッグ・ダディを演じるのはかのニコラス・ケイジである。1995年にアカデミー賞を受賞した俳優だが、私はあまり好きではない。やはりアカデミー賞を受賞した後、大作アクションばかりに出ていて、パフォーマンスが落ちてしまったのがその理由である。それにしてもケイジは、ここ数年あまり活躍を見ないが、こんな映画に出ていたのか。随分と痩せてしまって、貧相な印象である。ヒット・ガールを演じるのは、クロエ・グレース・モレッツという女の子で、声も見た目も小学生だが、このヒット・ガールがこの映画で一番強くて、大量殺戮を行う。こんな子どもに殺戮シーンを演じさせる本作も大丈夫かと思うが・・・まあ、クロエ・グレースはよく演じていたと思う。今では(2017年)20歳の大人の女優になっているが、背も小柄で可愛らしく、いかにも日本人が好きそうな顔立ちだ。


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↑これがクロエ・グレース・モレッツ。この制服姿がまたロリコンたちをくすぐりそうだが、この後、彼女は無数の人を殺しまくるのだ・・・笑

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↑ヒット・ガールとしてのクロエ・グレース。こんな子どもが大量殺戮をしようとは。


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↑これが現在のクロエ・グレース。確かにかなりかわいいが、私のタイプではないな。エッ!?


ヒット・ガールとビッグ・ダディが出てくるあたりから、物語は多少ハードボイルドになってきて、少し引き込まれる。
ギャング集団に、ヒット・ガールとビッグ・ダディが復讐する話になってくるのだ。ギャング集団のボスはフランク・ダミーコというのだが、ダミーコを演じるのがマーク・ストロングで、私の好きな『シャーロック・ホームズ』でブラックウッド卿を演じた俳優である。一目で覚えられる悪役顏は貴重だと、本作を見て更にその思いを痛感した。
復讐には、キック・アスも関わってくるが、添え物みたいな印象で、彼はいてもいなくても良い。

ビッグ・ダディは、自分を陥れて妻を自殺に追いやったダミーコを許せずに、復讐を計画するのだが、それに実の娘を使うのが怖すぎる。普通の父親なら、娘に殺人を犯させるなんてこと、しないだろう。しかも見るからに父親よりも強くなってしまって、ああ怖い・・・彼女は敵の足を斬り落としたり、ナイフでざくざく斬ったり、ゲーッ、怖すぎ笑
ヒット・ガールは、父親のせいでこんな殺人鬼にさせられてしまったかのようだ。

しかし、それにしても、復讐をするからといって、ビッグ・ダディとヒット・ガールは、なぜヒーローのコスチュームを着なければならないのか、さっぱり分からない。目立ってしょうがないじゃないか!それにかっこわるい。


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↑なんだこの親子!!笑


ビッグ・ダディは、キック・アスがヘマを犯したお陰でダミーコ一味に殺されてしまうのだが、それからがヒット・ガールの本領発揮であった。彼女はダミーコ一味を銃で一掃する。

銃撃戦は大して刺激的な映像ではなく、マシュー・ヴォーンがつまらないのは、ストーリーの退屈さもさることながら、銃撃戦が陳腐だからだろう。興奮させられないのだ。タランティーノの『ジャンゴ』が懐かしくて仕方がない。あれの最後の銃撃シーンは、ディカプリオが銃で撃たれてから始まるのだが、なかなか迫力があった。まあヴォーンをタランティーノと比べては、ヴォーンもかわいそうか・・・

まあ、そんな感じの映画である。

身体の欠損シーンはあるが、大したことはない。この映画より残酷な映画は腐るほどあるので。