好きなものと、嫌いなもの

書評・映画レビューが中心のこだわりが強いブログです

昨日やったこと

たまにはレビューから離れて雑記を書こうか。

 

渋谷へ

 

 

昨日は仕事帰りに数カ月ぶりに渋谷に寄った。渋谷といってもマルイとか西武に行く訳ではなく映画館に行こうと思ったのだった。観たいのはポール・ヴァーホーヴェンの映画『ELLE』である。渋谷にある渋谷シネパレスという映画館は、木曜日はメンズデーをやっていて、1,000円で映画を観られるのだ。

『ELLE』はサスペンス映画である。イザベル・ユペールという女優が主演で、あるゲーム会社の社長・ミシェル役を務める。彼女は家にいる時、突如として乱入してきた男に襲われてしまう。犯人探しをする彼女だが、次第に明かされていくのは犯人よりも恐ろしいミシェルの本性だった。

あらすじを聞いているだけでも面白そうだが、評価も高いらしく、世界中で高く評価されている。ユペールは私の好きなミヒャエル・ハネケの映画に何度か出演していたので、常に注目はしていた。しかも、彼女が主演する『ELLE』がいかにも私好みの物語に仕立ててあり、ぜひ劇場で観たいと思ったのだった。

 

 ↓ イザベル・ユペールは、ハネケの『愛、アムール』では娘役を務めた。

rollikgvice.hatenablog.com

 

昨日は出張先からの帰りで、遅くとも17時前には渋谷に着けそうだった。渋谷シネパレスでの上映開始時間は17:15。ネットでチケットを買えないのが面倒だが、何とか時間に間に合いそうだった。

 

しかし予想外に仕事が長引き、渋谷に着いたのは18時。これから映画館に入る訳にもいかない。その後の時間を調べると20時スタートとある。20時スタートだと終わりは22:20である。終わりが途方もなく先のように感じられ、今夜は映画を観るのをやめることにした。残念ながら、日本ではヒットしそうにない映画なので、早く観ないと公開が終了してしまう懸念はあったが。

 

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せっかく渋谷に来たので何かしようと思ったけれども、あいにくの雨模様だし、あまり遠出したくない。とりあえず南口に降り立ち、食事でもしようか。

渋谷に来るとラーメンが食べたくなる。南口には、好みの店が2軒あるからだ。一つははやしという、シンプルな煮干し味のラーメンを出す店である。私がこの店に初めて来たのはいつだったか。10年以上前だったが、いつ行っても行列ができていて大変客を待たせる店である。しかしそれだけに上質なラーメンを味わえる。

 

上質さというのは抽象的な言葉で、具体的な意味を伝えるには言葉を費やすしかないが、煮干し味のスープをすすると、澄んだような味わいがする。煮干しの味はしっかりと付いているにもかかわらず、清冽な水を飲んだような気持ちになる。それは譬えでしかないが、舌が清められるような錯覚に陥るのだ。

もちろんこれはラーメンのスープで、煮干し、チャーシュー、メンマ、海苔、柚子などによる出汁がスープの奥底に漂っている。従って、当然、これは水ではないし清められる訳はないし、しっかりと味の付いたスープなのだが、このすっきりした味は、舌が清められるという表現がぴったりくる。舌が分かるのだ。これは「清澄な清水のようですね」と、舌が私に語りかけてくるような塩梅。それに私は答えて、「そうであろうそうであろう。お主も味がよく分かるではないか」と言いたくもなるのだ。

またあの上質さを味わいたいなと思ったが、はやしは夜は営業していない。昼だけで勝負する、この潔さもまた、はやしの好きなところなのだが。

 

従って、自然と足はもうひとつの店へと赴く。

それは陸橋を渡ったところにある亜寿伽という店である。ここは坦々麺が美味しい。よく、坦々麺といいながら味が薄かったり辛みが乏しかったりする坦々麺を提供する店があるが、亜寿伽はそんなことがない。あせって麺をすするとむせってしまう。味は濃厚だが、横浜家系ラーメンのようなしつこさはない。ラーメン単体でも満足できる量だが、サービスで茶碗一杯の飯がつく。別に頼まなくても良いが、坦々麺が濃厚なので、つい食べてしまう。これを食べると腹は満腹である。カウンターしかない店なので長居もできないが、つい水をごくりとやって胃を休めてから席を立ちたくなる。

 

亜寿伽は昨日も営業していた。時間は客が混んで来る時間帯だが、空席が目立った。奥には女性連れが二人、ビール片手に坦々麺を食べている。鶏肉を挙げたパイクー坦々麺なるものもあるが、これは少ししつこいので、腹をよほど空かしていないと私は頼まない。この日はおやつを食べてしまっていたので、坦々麺を頼んだ。料金の支払い方法が以前と変わっていて、先払いになっていた。

メニューにもサービスの飯についての表記がなかったが、「あるか?」と武士のような気取った口調で聞いてみると、めがねを掛けた店員は、ドラマ『HERO』の「あるよ」を真似んばかりの威勢の良い言い方で「あります」と答えて直ぐに飯を持って来る。そういえばこの店員は以前も見たことがあるような気がする。

 

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ラーメンを作るのは痩せ形の中年の男性店員でほとんどしゃべらない。めがねの他に、かわいらしい若い女性店員がいた。この女性がめがねとたまに話していて、それがまた客の邪魔にならない程度の頻度で話す。内容からすると大学生のようである。

坦々麺は以前と変わらぬ味と量で大変満足した。飯にはテーブルに備え付けの青菜を付けて食べるとより一層美味しい。私はこの青菜を坦々麺にも入れて食べた。スープも濃厚な辛みが舌を喜ばせ、思わず飲み干してしまいそうであった。

 

私が帰る頃には席は埋まって来たが満席になるほどではない。これが気になった。天候が悪いから客の足が遠のいているのか。

渋谷というと、味の分からない田舎の学生がたまっている印象で、そんなにグルメな街ではないが、何しろ電車の乗降客の人数が多いので料理店も自然と淘汰される場合もある。夕飯時にもかかわらず客が少ないのは少し気になった。亜寿伽は以前と変わらぬ味で私の舌を歓喜させるが、客が少ないとつぶれてしまうのではないかという懸念もある。また亜寿伽に来るのはいつになることやらであるが、次に行ったら店が変わっていたなんてことがないようにしてもらいたい。

 

久しぶりに夕飯を外で済ませた後、私は東急百貨店に行った。もちろん服だの宝飾を買うためではない。7階のジュンク堂に行くためだ。そこで私は本を3冊買った。

 

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