【書評】 ゲームにすればうまくいく 〈ゲーミフィケーション〉9つのフレームワーク 著者:深田浩嗣 評価☆☆★★★ (日本)
ゲームにすればうまくいく 〈ゲーミフィケーション〉9つのフレームワーク
- 作者: 深田浩嗣
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2012/04/19
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ゲーミフィケーションで動機づけを高めよう
ここ最近、顧客の研修用の企画を考えていて、参考になると思った考え方が「ゲーミフィケーション」だ。ゲーミフィケーションとは、本書では「ゲームの要素を、ゲーム以外の領域で活用していく」ことを指す。『ゲーミファイ』という本では、ゲーミフィケーションは動機づけに有用だと言っているが、本書でもその文脈で読める。
例えば本書にも例示されていたタカラトミーの人生銀行がある。これは「貯金」という退屈な行為を、ゲームを使って楽しくして、貯金の動機づけを高めようとするゲーム感覚の貯金箱だ。
人生銀行は、500円を入れるたびに画面の中にいる”人間”が成長していくというゲームになっている。
「貯金箱の住人」が三畳一間の生活からスタートし、貯金額が増えるのにしたがって、広い部屋へ引っ越したり、就職・恋愛・結婚をするなどの物語が展開します。
目標金額に到達しなければ、残念なエンディングを迎えることになる。まるで、RPGかアドベンチャーのようなストーリーが展開されるという訳だ。貯金する人は、なんとか良いエンディングを迎えさせようと、貯金し続ける。貯金の動機づけが高まり、貯金額も増えて目標額に到達できるという仕組みだ。
ゲーミフィケーションと内発的動機づけ
内発的動機づけとは、エドワード・デシの著書で有名な心理学の概念である。
- 作者: エドワード・L.デシ,リチャードフラスト,桜井茂男
- 出版社/メーカー: 新曜社
- 発売日: 1999/06/10
- メディア: 単行本
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ゲーミフィケーションで有用なのは、この「内発的動機づけ」である。人生銀行を通じて、「貯金そのもの」が楽しくなれば内発的動機づけが働いている。楽しくなければ続かないというより、楽しいものこそ継続性があるのである。
そしてこれを貯金ではなく、「仕事」に置き換えたらどうなるか。仕事は仕事ゆえに安楽にできるものではないし、苦しいものである。しかしそれだけが全てではないだろう(ブラック企業の場合でそれを言うと、ブラックユーモアになってしまうが)。
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本書は、事例がもう少し面白ければ評価できたと思う…