【書評】 音楽 著者:三島由紀夫 評価☆☆★★★ (日本)
- 作者: 三島由紀夫
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1970/02/20
- メディア: 文庫
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三島由紀夫による精神分析風の小説。三島由紀夫が、門外漢ながら精神分析学を勉強しているんだなぁという雰囲気は伝わるが、ただそれだけ。
セックスに不感症な女性が主人公。三島由紀夫は、『鏡子の家』にしろ『夏子の冒険』にしろ、無気力な人間を描くことが多いと感じるが、やはりそれは自身の戦後の倦怠感に由来しているのだろうか?『音楽』の主人公も性に倦怠感があり、セックスをしても感じることができない。そして、精神分析医の元を訪ね、精神分析の治療をしてもらう…というストーリー。
精神分析医という職業が今もあるのか知らないが、『音楽』の精神分析医は話を聞いてアドバイスをするだけで薬物治療は行わない。心理カウンセラーのような役割を担っている。在野の哲学者のよう。こんな仕事で医者を名乗っていたのか…牧歌的な時代があったものだと、しみじみ感じる。