【映画レビュー】 劇場版 MOZU 評価☆☆☆★★ (2015年 日本)
劇場版『MOZU』観たー。客席ガラッガラwww
ドラマのファンじゃないと観に来ないのかもな。
かくいう俺もドラマ版からのファン。シーズン1は秀逸な出来で、『IWGP』や『半沢直樹』、『リーガル・ハイ』なんかと並び、俺が好きなドラマにさえ挙げたいほどに好きなのだが・・・(シーズン2も決して嫌いじゃない)
1.ストーリー
非常に「粗雑」な印象。監督も見直しってものをしないのかな?っていうくらに詰めが甘くて、粗い。
見直していないのか、「もういいや、クランクアップしちゃえ!」って適当に仕上げた感じがするね。
映像や演出、キャストが優れてるから見られるけど、ストーリーの粗雑さからは、B級っぽさがプンプンするねwww
思えば、『MOZU』という作品は、シーズン1が最高で、シーズン2で「あれ?地味」って思って、劇場版で「爆発した」って感じがするな。
ストーリーの疑問点は以下の通り
・ペナン共和国になぜ新谷和彦(池松壮亮)がいたのか?そしてなぜその後出てこないのか?・・・これじゃただのファンサービスじゃねえかww
・ペナン共和国から突然日本編に戻る。
あまりにも唐突過ぎる。
しかも倉木警部(西島秀俊)が、バーで目を覚ますところで、日本編に戻ってるので、「夢オチ」だったかのように見える。
・ドラマ版の知識を前提とした作りになっている。
ドラマ版を見ていないと、劇場版のストーリーは一切理解できない。大人気の西島秀俊見たさで来ている観客もいるだろうに・・・
・倉木警部が強過ぎる。
『花より男子』の一番地味なF4(阿部力)にリンチされた後、治療もせずに平然とダルマのいるアジトに向かったり、ラスト、伊勢谷友介に、ナイフで何か所も刺されても死なないとかって、あまりにリアル感がなさすぎ。
・ダルマ(ビートたけし)の扱いが雑である。
シーズン1から引っ張ってきた巨悪の存在であるダルマ。日本のあらゆる点(政治・経済・行政)に関与してきたダルマが、あっさりと死ぬ。
そして、なぜラスト、あのビルの屋上にダルマが来たのか?さっぱり分からない。
ダルマが日本のあらゆる点に関与するのは分かるけど、こんな簡単に死ぬの?ってくらいにあっさり死ぬ。
健康な他人の体の臓器を自分に移植してまで生きながらえる変態野郎、それがダルマなんだが、もうちょっと活躍させてから殺すべきだったな。
たけし、結構な存在感だったんだけどなぁ。
2.演出
演出はなかなか良かった。
最初のビルの爆破シーンは安っぽいCGだったのが残念だが・・・
良かったのは以下の通り。
・アクションシーンに興奮させられる。
別に劇場版だけじゃなく、ドラマ版から既にカッコ良かったが、期待を裏切らない。
倉木警部が殺し屋たちを一掃する冒頭のシーンから始まり、殺人マシーンが大杉探偵事務所で大暴れするシーンなど、見応えが多い。
・暴力シーンをちゃんと描いている。
PG12で良かったのかどうか疑問なくらいグロいシーンも多かった。
暴力じゃないけれど、殺人マシーンの権藤(松坂桃李)が雛になりかけている卵を食っているシーンがなかなか気持ち悪い。
・ペナン共和国の描写が凄い。
いかにも東南アジアの貧困な街を撮っているんだが、「荒んでいる」感じがよく出ている。
特に、人身売買の小屋の薄汚い感じ、船に乗せられて人身売買で売られて行く子供たちの姿などは、非常に良い。
・キチガイが多い。
シーズン1では、一番のキチガイは主人公の倉木じゃないか?というくらいに、執拗に敵を追っていた倉木。そして倉木に関わる中神(吉田鋼太郎)、新谷も狂っていた。
だが劇場版では、権藤も東も高柳も新谷もダルマも、みんながキチガイだ。
そしてそのキチガイと、常人である倉木たち・・・という構図が良かった。倉木はシーズン2から、目的を見失い、真人間になった感がある。
3.キャスト
だいたい良かった。
松坂は殺し屋というより、彼の生活そのものが殺すことと繋がっているかのようだ。
心が歪んでいて、言っていることが全く当を得ないが、それを違和感なく演じるのは凄い。
長谷川は登場シーンから異常な存在感w
『地獄の黙示録』のオマージュシーンで出てきて、いつもながらのお多福のお面を被りながらデカい車(装甲車みたいな)に乗って、カーチェイスを繰り広げる。
RPGまで撃つし・・・
彼自身もダルマのせいで狂った行動に出ざるを得なかったことが描かれるが、散々人を殺しまくってきた長谷川=東に同情する人はいないだろw