トランプ氏、TPP「永久に離脱」 大統領令に署名 :日本経済新聞
米国のトランプ大統領が、「TPPから永久に離脱する」と大統領令(議会の承認を得ることなく、大統領が政府や軍に直接発令できる権限のことをいう)に署名した。米国の離脱表明でTPPの発効は文字通り絶望的になった。トランプは日経によると「日本との自動車貿易は不公平だ」と主張し、通商摩擦を再燃させたいかのようである。
TPPから永久に離脱すると大統領令に署名した通り、「再交渉」の可能性も消失する。これでTPP発効はとん挫してしまった。
しかし日米通商摩擦というありもしない幻想を物語るあたり、記事にある通りトランプの主張は時代錯誤なのだろう。トランプの政治を「ポスト真実(事実)」の政治だと言われる通り、自らの主張を裏付けるために、幻想を根拠に発言し続け、世界に悪影響を与え続けるトランプの手綱を引くことのできる側近は、米国政府にはいないのか。
俺はトランプが大統領選挙に勝利して、大統領に就任することが決まっても、少し楽観視していた。いくらトランプだからといって、一人で政治を取り仕切ることができるはずがない。だから側近の諫言に耳を傾け、主張を修正していく。そう思っていた。しかし俺の楽観的なもくろみは外れた。トランプは修正しない!そういうことだ。
トランプは1980年代の通商摩擦そのままの認識で大統領になっている。日本勢が米国で現地生産を進め、2006年(直近のピーク)より2015年の対米輸出は3割も減っている(上記の日経記事)。それでも米国で日本車のシェアが4割もあるのは、現地生産を行い、自由な経済の下で消費者が日本車を選択したという努力の結果だろう。
それなのにトランプは「日本との自動車貿易は不公平だ」と断じるのだから、いかに幻想を下に自己主張を正当化しているかが分かる。米国人有権者が、「そう思いたい」という幻想をトランプに託してしまったのは、仕方がない。民主主義なのだから米国人有権者にも責任があるが、しかし、ここまで酷く、未だに自己主張を修正せずに幻想を抱き続ける大統領に対しては、誰かが手綱を締めなければならない。それは側近であるべきだと思うのだが、どうだろうか?
ポスト真実については以下を参照するとためになる。俺のような素人と違って、学者の記事は面白い。