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ウェイン・ワン監督について
『スモーク』で有名になった香港出身のウェイン・ワン監督が日本人キャストで撮った映画。『スモーク』で有名になったといっても、『スモーク』は1995年の映画なので、いったいその後ウェイン・ワンは何をしていたのかという気がする。『スモーク』はポール・オースターというアメリカの作家が原作の映画だが、『女が眠る時』もハビエル・マリアスというスペインの作家が原作である。ウェイン・ワンは『スモーク』の他に『ブルー・イン・ザ・フェイス』でもポール・オースターと組んでいる。
私はオースターの小説では『幽霊たち』という小品が好きだ。ただ、『リヴァイアサン』『ガラスの街』なども読んだがいまひとつだった。あんまり好きな作家ではない。
『女が眠る時』の怱那汐里はミスキャスト
この映画ではビートたけしがクレジットの最上位にきているが、本来の主演は西島秀俊でたけしは脇役である。怱那汐里がヒロイン役。たけしが演じる役は、外見がもっと知的な役者の方が良いな。たけしは映画監督としては素晴らしいが、演技力は高くないから別の俳優の方が良かった。西島秀俊は一発屋の作家を演じていて、それなりに上手い。だが彼が服を脱ぐシーンがあるが、あまりにも体を鍛え過ぎていて作家らしくない。三島由紀夫みたい。服さえ脱がなければ細身に見えるし、表情も陰鬱なので作家という感じがする。
怱那汐里がヒロインとしては非常に地味で、顔があまりきれいではない。メイクを濃くするとフィリピンパブのナンバーツーみたいな雰囲気になってしまう。こんな怱那にビートたけしがのめりこんでいるというが、ちょっと、どうなんだろうか。西島秀俊もたけしと怱那の関係を気にするというけれど、気になるかなあ。有村架純あたりが演じてくれたら、上品さの中に妖艶さが垣間見えてエロティックだった。
怱那は、少女の頃からたけしが面倒を見ていて、美しくなり、自分の元を離れようとする彼女を何とかして留めたいという設定なのだが、怱那にそんな魅力はないので拍子抜け。谷崎潤一郎の『痴人の愛』のナオミのような、少女と娼婦とを混交したかの如き存在感がないと物語に没頭できない。