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劇場で映画を2本観た

劇場で映画を2本観た。

1本目は『凶悪』というバイオレンス作品、2本目は『そして父になる』というホームドラマだ。

両極端の作品だが、共通しているのはリリー・フランキーが重要な役で出演しているということ。

『凶悪』でのリリーは、先生という名前で数多くの殺人のブレーンである。 そして、『そして父になる』でのリリーは、気の良い親父役。どちらかといえば陰のある福山雅治とは対照的な人物として描かれているのだ。 両極端の作品に、両極端の役で出演しているリリー・フランキーを見るために俺は劇場に行ったようなものだ。 作品自体は、『凶悪』の方が面白かったけれど、リリー・フランキーの演技はいずれも素晴らしかった。 『凶悪』におけるリリー・フランキーは、いきなり、借金を返さない男を絞殺しているシーンから登場して、なかなか凄みがある。というか、この演出をした監督も結構凄い。 また、『そして父になる』のリリーは、子どもと向き合って、妻とも信頼しあっている夫を演じているが、いつもはオシャレなリリーが、いも臭いシャツを着て美人だけどあんまり育ちが良くなさそうなかみさんと、福山雅治夫婦の前で文句を言い合っているシーンが何度か見られ、子どもをどうやって育てていくかとか、家庭とはどういうものかとか、自分なりによく分かっている夫を演じていて、リアリズムを感じた。 『そして父になる』は、特に感動的な作品ではなかった。終盤、福山雅治が泣くシーンがあり、子どもを追い求めるシーンに繋がっていくが、福山雅治は感情を抑えていて、共感できなかった。 鼻水を垂らしながら、子どもを追い求め、 子どもへの愛がほとばしるようなら共感できるのだが、そうではないので、フーンって感じでしかない。 ただ、是枝監督は、子どもを撮るのが凄い上手いようで、他の映画にこのガキどもが出ていても絶対に気づかねーよ!的な子役を使っているのだが、彼らが遊んでいたり、親とコミュニケーションを取ったりしているところとか、妙にリアルで面白かった。 映画は『凶悪』に軍配があがるけれど、リリー・フランキーの演技を見るためなら、どっちを見ても損はない。凶悪 スペシャル・プライス [Blu-ray]