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ももでちっそく

書評・映画レビューが多くなってきましたが、雑記ブログです。口が悪いので酷評することも多いです。すきなひと、さーせんね。

A LIFE

テレビドラマ

『A LIFE』1話を見た。あらすじは既報の通りだった。手術シーンにスピード感があり、かつリアリティを感じさせる。医学用語や手術の技法が随所に出てきて、そしてそれらを演者が自然に語っていて、専門外の俺にはそれが正しいかどうか判別できないけれど、本物の医師同士の会話を見ているかのようだ。「私、失敗しないので」(『ドクターX』)みたいな決め台詞がないので地味といえば地味だが、ああいう決め台詞を人工的な演出と感じるには、こちらのほうが丁度いい。

古巣の病院の院長に心臓疾患が見つかり、手術をしなければ余命半年という中で、木村演じる外科医が戻ってくる。彼は米国のシアトルでキャリアを積んでいて、論文は書かないが手術の技術は一流だった。
そこで見事な手術をして院長を助ける外科医だが、院長は術後に意識不明となってしまう。周囲に失敗となじられる外科医は、再手術の方向性を考える。ほとんどの人間が手をかさない中孤独に考え抜いた外科医は、遂に方向性を固めて今度こそ成功させる。 

この間なかなかの緊張感がある。緩慢としたところはほとんどない。院長の娘で木村外科医の元恋人が小児科医として勤務しているが、1回目の手術の失敗について木村を責める。無暗に感情的ではなく、木村が反論できないような言い方で責めるのだ。また、浅野忠信演じる副院長は院長の女婿だが、ドラマの冒頭で院長と経営方針を巡って激論をかわしている。彼は完全なポーカーフェイスで何を企んでいるのかまるで分からない。「木村外科医の手術の邪魔をするのでは?」と思わせる顔付きで、こういう思わせぶりで、何をしようとするのか分からないところに、先の読めない緊張感があった。音楽がクラシックなのも緊張感を削がないし、安っぽくさせていない。

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木村拓哉は例によってスーパードクターを演じているが、『ヒーロー』や『プライド』などのように気取った演技ではなく、『アイムホーム』の時のように感情を抑えており、見ている者に心理を想像させるような演技をしている。海外で修行を積み、これまでこなしてきた手術数が6000件とか、手術中に出血させない技術とか、納得感のある設定があるので、確かにこういう医師もいるかもと思わせられる。松山ケンイチ演じる若い外科医に、「手術をたくさんこなして何よりもキャリアを積む医師」とのイメージを植え付けられるが、そのくらい仕事をしないと、スーパードクターっぽくない。スーパードクターといっても何でもできる訳ではなく、主人公が院長のような症例を手術で成功させた例はわずか1例しかなく、リスクを負ってでも何とか仕事をやりきるプロフェッショナル然としていた。

さすがに、ベルギー王族の体を治したというのは、『ヒーロー』みたいなドラマであればわざとらしかったが、今回は木村を何とかこの世にいそうな人物にしようとリアリティのある演出に徹しているので、まあ良いのか。コレはどうでも良いんだが・・・スマップ解散の痛手か、木村は少し頬がこけてやせ過ぎのようにも見えたが、激務をこなしてきた医師という設定だから良いか。

浅野忠信は盤石のパフォーマンスを見せてくれて、安定感がある。副院長でかつての木村の恋人を奪うような、貪欲な医師だ。出番は多いのに台詞は少ないが、心の奥底で欲望が渦巻いているのを顔で見事に体現している。めったにドラマに出ない浅野がこの作品に出てくれて良かったと思う。

松山ケンイチは単細胞の役どころで、柔軟性に欠ける役。見ていてイライラさせられるがそれだけ彼は役にはまっているのだろう。カメレオン俳優と呼ばれることもある松山だが、外科医役なのであまり個性を押し出されると異和感を覚えるが、彼はそういうことはしない。

木村文乃はどうだっただろう。演技はまあまあだが、設定に無理があるかもしれない。看護師役で、医師よりも優れた医学知識を持っているとのことだが、どう見ても20代にしか見えない外見で、それこそ「キャリアを積んでいない」ように見える。木村拓哉と同年齢くらいの中年女性に演じて欲しかった。

菜々緒は画一的な演技で退屈だが、出番が少ないから救われる。一昨年の『サイレーン』で彼女は外見の個性で勝負していたが、今回も同じ。顔に癖があって個性が強過ぎるので何を演じても菜々緒なのだ。『サイレーン』では特異な設定とストーリーに乗っていただけなのに巧者のように扱われていて異和感があったのだが。


『A LIfe』の視聴率が公開され、あれだけ宣伝したのに14%と、情けない数字になったようだ。だが視聴率とはどれだけの意味があるだろう。俺は昨日は生で見たが、普段ドラマを録画以外の手段で見ることは殆どない。どうも視聴率は、マスコミが騒いでいるだけのように見えてしまう。映画で言えば、視聴率は興行収入で、確かにそれもビジネスでは重要なのだが、単に映画を評価し、そしてドラマを評価するには、大した要素ではない。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170116-00000


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