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【書評】 美しい星 著者:三島由紀夫 評価☆★★★★ (日本)

美しい星 (新潮文庫)

美しい星 (新潮文庫)

三島由紀夫SF小説リリー・フランキー主演で映画化されているが、観に行ったりDVDで観たりすることはなさそうだ。それくらい退屈な小説。

三島らしい美の技巧を照らした文体はどこへやら、淡白で味気ない文章で、自らを宇宙人だと思い込む日本人家族の奇妙な生活が描かれる。文章の退屈さもさることながら、宇宙人だと思い込む日本人を描いている割にはエキセントリックな出来事は語られず、政治的小説の趣きも醸しだされるが、『宴のあと』の如きリアリティがなく、風刺的な描写があるのみで、前へ前へと読み進めることが難しい。三島にSFは書けないと痛感。