The Struts
The Strutsは英国のグラムロックグループらしい。YouTubeでおすすめに入ってきたので「Body Talks」というのを聴いたら・・・すごかった。かっこよかった。もう100回くらい聴いた笑
ボーカルの見た目がフレディ・マーキュリーっぽいのも良い。ジャンルもグラムロックだから似てる。
バカっぽくて狂っていて、そこそこおしゃれで・・・ダサかっこいいというのかな?
良いなぁ。
The Struts - Body Talks ft. Kesha
ストーンズも認める注目の新星グラムロック・バンド「ザ・ストラッツ」とは | Rolling Stone Japan(ローリングストーン ジャパン)
【映画レビュー】 ヴェノム 監督:ルーベン・フライシャー 評価☆☆☆☆★ (米国)
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明るいユーモアが楽しい『ヴェノム』
『ヴェノム』はマーベルコミックを原作としたSFアクション。Sony Picturesの作品で、かつ、世界中でヒットしているという程度の理由で鑑賞したが、アクションの激しさと、コミカルさがほどよく調合されたユーモラスな作品で面白かった。
アクションとコミカルさに訴求ポイントがあるが、どちらかというと、『ヴェノム』の魅力は、迫力あるアクションよりも、明るいユーモアにこそあるだろう。ヴェノムというクリーチャーは、最初はヘドロみたいにグロテスクで、人間に危害を与えそうに見える。しかも、人間に憑依すると無数の牙をむき出しにしたエイリアンのようになる。ダークヒーローの映画かと思う。Sony Picturesの日本のキャッチコピーには、「マーベル史上、最も凶悪なダークヒーロー誕生。」とあり、残酷な映画なのかなという印象を持つ。
だが、そんなグロテスクな化物が主人公のエディ・ブロックと漫才を繰り広げてしまうから驚く。腹が減ったと言ってはそこらの食い物を食い漁り、悪い人をも食べてしまう始末。そのギャップが面白く、会場にも笑いが漏れていた。もちろん私も笑わされた。
ヴェノムの圧倒的存在感
ヴェノムのヘドロ的存在感は圧倒的で、一度見たら忘れられない。グロテスクでいながら主人公と漫才を繰り広げるユーモラスさが相まって、非常に気に入った。
ヴェノムは最初、単なるヘドロでしかない。形を持たないが人に憑依しようとする。しかしなかなか相性が合う人間が現れない。相性が合わないと人間は殺されてしまう。だから非常に不気味な存在として立ち現れる。見る者は少々おじけづく。こいつはとんでもない悪党だと。
ヴェノムははぐれ者でユーモラス
ヴェノムは不気味な存在で、見る者を怖がらせる。とんでもない悪党である。しかし、ヴェノムは、主人公のエディには憑依し彼を殺さなかった。その理由は、エディ同様、彼ははぐれ者だからだった。
はぐれ者同士でウマが合ったから、ヴェノムはエディを殺さない。殺さずに憑依し続けることでヴェノムはようやく人格を表す。それが前段のユーモラスさである。ヴェノムはエディと漫才を繰り広げる。また、ヴェノムは食いしん坊なので何でも食べる。エディに憑依できたことでその食いしん坊ぶりが露見する。エディが犬のように食い物にありつく姿はなかなか滑稽で面白く、ユーモアがある。グロテスクでいながらユーモラスであるヴェノムは、エディと表裏一体となることで、ようやくその魅力を表した。
『ヴェノム』はアクションとコミカルさが魅力だ。いかにもハリウッドのアクション映画という、異次元のハードアクションは食傷気味である。だが『ヴェノム』にはコミカルさがあるので、異次元のハードアクションも悪くない。映画を見終わった後に、少々、アクションシーンを思い出させるほどには悪くないだろう。
映画のラストシーン近くの戦闘は、スピードが早すぎて面白さがよく分からなかったけれど、街での戦闘シーンは丁寧な描写だった。戦闘の規模は小さくなるが、ヴェノムが憑依した後のエディと人間との戦闘もしっかり描かれていた。
悪役はミスキャスト
悪役ドレイクを演じるのは、リズ・アーメッドという男優。アーメッドは、パキスタン系のイギリス人で名門オックスフォード大学卒という輝かしい学歴を持つが、悪役を演じるだけの憎たらしさに欠けている。実験と称して殺人を犯すマッドサイエンティストなのだが、どうにもそうは見えない。賢そうには見えるが、科学の力で世界を豊かにしたいとでも考えてそうに見えた。悪役になりきれていなかったのだろう。どう見ても、マッドサイエンティストに殺されてしまう科学者にしか見えない。
窪塚洋介という狂った俳優への賛辞
レトロなゲームの中の窪塚洋介
窪塚洋介という俳優を初めて見たのは、映画ではなかった。セガサターンという古いゲーム機で出た『街』という実写ゲームに、彼は出ていた。『街』での窪塚洋介はテレビのAD役で、上司にこき使われるサギ山勇という、ふざけた役名の若者を演じていた。
実写といっても動画ではなく画像なので、演技といっても映画を見るように動きを捉えることはできない。ゲームの音楽と、テキストによって、ストーリーは展開されていく。窪塚はそこで脇役ながらも光るものを放っていた。それはテレビに映る彼の存在感だった。
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『GO』で批評家からの評価も獲得
窪塚洋介はテレビドラマ『GTO』、そして『池袋ウエストゲートパーク』の怪演を経て、『GO』で批評家の評価も得た。日本アカデミー賞の最優秀主演男優賞を受賞したのだ。日本アカデミー賞の権威がどうのこうのはあるが、とりあえず日本のマスコミの注目を浴びた。確かに、『GO』における、静かな湖水に波紋を呼び起こし続ける彼の演技は、人を惹きつけてやまない。かくして窪塚は、大衆的な人気を得ていく。
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初期の窪塚は、演技は上手くはなかったが、持って生まれた個性が爆発的である。ゲームの『街』同様、窪塚の存在感は強烈だった。何か、彼がそこにいるだけで、見る者に、狂気を伝染させるかのような病巣的な存在感。これは年数を経て、窪塚の新しい演技を見ても変わらない点である。
さて、『GO』が公開されたのは2001年。その後『Laundry』(2002年)、『ピンポン』(2002年)、『凶器の桜』(2002年)、『魔界転生』(2003年)など、出演作が次々と公開される。しかし2004年、彼に転機が訪れる。例のマンション転落事故。2005年に『鳶がクルリと』で復帰したが、以前のように主演級の映画に出ることは少なくなっていく。
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13年後の表舞台
しかし、窪塚洋介という俳優はここで終わらなかった。久しぶりの表舞台は、事故から13年後。しかしその表舞台は、彼にとっては極めて輝かしい舞台だった。オスカー監督賞を受賞した経験のあるアメリカの巨匠マーティン・スコセッシの映画『沈黙』への出演だったからだ。それも、演じるのは難役・キチジローである。
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私は思わずGoogleで「窪塚洋介 沈黙」と打って、Webの記事をたくさん消費した。彼の演技が賞賛されている記事を読むたび、喜んだ。アメリカで窪塚洋介よりもイッセー尾形の方が注目された時、「お前らどこを見てる」とすら思った。この感情をふりかえると私は、窪塚のファンだったのだと改めて感じる。
それから、窪塚洋介は海外映画へのチャレンジをしているようで、まだクランクアップされたのかどうかすら分からないが、とりあえずエリザベス・バンクスという女優が主演する映画への出演が内定しているらしい。しかし、いつ公開されるか分からない映画よりも、Netflixのドラマの方が窪塚の勇姿をいちはやく見られる。
それは『giri/haji』というヤクザ映画のようなタイトルのドラマである(英国ではBBCで放映)。タイトルの野暮ったさは気になるが、彼は英国で暮らす日本人を演じるらしい。兄役を演じるのは平岳大。平はブラウン大卒のエリートなので英語も堪能。窪塚は英語を勉強しているというが、どれほどか。早く見てみたい。2019年にNetflixで見られることを望む。
窪塚洋介の演技は人に不穏さ・不気味さを与える
窪塚洋介の代表作を考えると、何が思い浮かぶか。彼は多くの映画やテレビドラマに出ているが、それほど質の高い作品には出演していない。だから私は、『池袋ウエストゲートパーク』のキング役を挙げることにする。これはB級のミステリードラマだが、窪塚が演じたキングは薬物依存でもしているかのような狂気を帯びたトリッキーな男で、主役のマコトの影が薄くなるほどである。
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ただ、窪塚は質の高い作品には出演していないが、演技は忘れがたい。品川ヒロシの映画『サンブンノイチ』(2014年)はB級映画だけれど、窪塚が演じた川崎の闇のボスは凄みがあった。ヤクザとか犯罪の世界に身を置いている者がスクリーンに出てきてしまったかのような不穏さを感じた。『サンブンノイチ』より2年前に公開された『ヒミズ』でもそれは感じた。
『池袋ウエストゲートパーク』のキング役も、確かに見る者を不穏に感じさせる演技だったが、片っ方の足を闇の世界に置きつつ、光の世界=メディアに出演してしまうほどの不気味さは、キングには見えない。やはり13年という時の流れが、窪塚洋介を良い俳優に仕立てたのではないだろうか。
なお、13年後の表舞台『沈黙』は、映画の出来は芳しくなかったが、窪塚洋介の演技はきっちりと、脳裏に焼印を押されたかのように私の中に刻み込まれた。彼が裏切っても裏切ってもなお、神の元へすがろうとするリアリズムには瞠目させられる。
彼の狂気がついに、世界を動かしたのかもしれない。
【書評】 ノーベル経済学賞 天才たちから専門家たちへ 編著:根井雅弘 評価☆☆☆☆★ (日本)
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ノーベル経済学賞って?
ノーベル経済学賞は、1969年から授与が始まった経済学賞である。ただ、物理学賞や化学賞などと違って、ノーベルの遺言に基づく賞ではない。本書にも書かれているように、「経済学賞はノーベル賞ではありません」というノーベル財団の専務理事が語った台詞の引用がある。
ノーベル経済学賞は、日本人にはなじみの薄い賞である。なにしろ、1969年の第1回ノーベル経済学賞以来、1人も受賞したことがないからだ。森嶋通夫など候補に挙がった日本人はいるかもしれないが、受賞には至っていない。1人でも受賞すればなじみが出てくるかもしれないが、今のところ可能性は低そうだ。
なぜ可能性が低いかというとアマルティア・セン以外、アジア人で経済学賞を受賞したアジア人がいないからだ。欧米の経済学者は毎年受賞しているのに、アジア人はセン1人。ノーベル賞に国や文化、人種は関係ないかもしれないが、あまりに欧米人の受賞が多いので日本人が経済学賞を受賞する可能性は低いように見ている。
楽しく読める経済学史
本書は楽しい本である。単行本にして、240ページ程度の薄い本である。しかし、執筆した経済学者たちの信頼のおける知見のお陰で、ノーベル賞を受賞した経済学者たちの研究内容を端的に読み取ることができる。
【書評】 江戸川乱歩傑作選 著者:江戸川乱歩 評価☆☆☆☆★ (日本)
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本格推理小説を集めた『江戸川乱歩傑作選』
『江戸川乱歩傑作選』は、新潮文庫のロングセラーである。1960年初版。所収されているのは大正12年のデビュー作『二銭銅貨』を初めとした乱歩初期短編がほとんどである。巻末の異色作『芋虫』だけが昭和4年の作品だ。
私が以前にレビューした『江戸川乱歩名作選』に比べると、本格推理小説の恰好を持った作品が多い。デビュー作『二銭銅貨』、そして『D坂の殺人事件』『心理試験』『屋根裏の散歩者』『二廃人』など、怪奇趣味やグロテスク趣味よりも海外の小説から影響を受けたトリックを読み解く推理小説である。
江戸川乱歩傑作選はなぜ面白いのか
『江戸川乱歩傑作選』を読むのは何度目か覚えていない。普通、推理小説というものは結末(犯人やトリック)を知ってしまったら二度と読む気が起きないものであるが、乱歩の初期の推理小説の場合は必ずしもそうとはいえない。それゆえに、私も『江戸川乱歩傑作選』を読むのが何度目なのか覚えていない訳だ。
本書の解説者の荒正人も次にように書いて、乱歩を称揚する。
一般に探偵小説は、犯人が判ってしまうと再読に堪えない。だが、乱歩の場合は例外で、普通の小説と同じように、何度読んでも印象が新鮮である。
乱歩の初期小説は、文体が谷崎潤一郎の初期小説に似ているような気がする。乱歩自身、谷崎の初期小説を好んで読んでいたそうだから、知らず知らずのうちに文体が似たのではあるまいか。彼の小説が「何度読んでも印象が新鮮」というのは、そのせいかもしれない。
例えば、『屋根裏の散歩者』の冒頭―――「多分それは一種の精神病ででもあったのでしょう。郷田三郎は、どんな遊びも、どんな職業も、何をやってみても、いっこうこの世が面白くないのでした」などは、谷崎潤一郎の初期小説と言われても、そうかもしれないなと思って読んでしまうかもしれない。私は『屋根裏の散歩書』を読んでいて谷崎の『人魚の嘆き』を思い出してしまった(『人魚の嘆き』は大正8年刊)。
私が好きなのは『D坂の殺人事件』と『屋根裏の散歩者』
何度も読んでしまう『江戸川乱歩傑作選』の中で、私が好きなのは『D坂の殺人事件』と『屋根裏の散歩者』の2つである。『D坂の殺人事件』は探偵・明智小五郎初登場の作品である。「冷やしコーヒー」を飲みながらぼうっと窓外を見つめていると、事件に出くわす偶然性が良い。江戸川乱歩自身が経営していたこともある支那ソバ屋、古本屋、この2つの事件に関係する場所が長屋で繋がっている描写が良い。犯人が支那ソバ屋の主人で、SM気質があると判明しても、SM気質の描写が大変に控え目なのも良い。語り手も、明智小五郎も、遊び人みたいに毎日を無為に過ごしている―――これもまた良い。
『D坂の殺人事件』は、一つひとつの描写が茫洋としていて、日常を描いているのに幻のような、奇妙な感覚に打たれる小説である。これが何度も読んでしまう魅力の1つだろう。
『屋根裏の散歩者』は、屋根裏から家の中を覗くという舞台設定が印象的な作品である。明智小五郎も出てくるが道化役のような役どころである。屋根裏の散歩者が主人公で、彼の視点で事が進む。彼は何をやっても楽しくなかったが、屋根裏の散歩者だけは楽しいと思った。そして、そこで完全犯罪を思いつく。屋根の上から毒を垂らして人を殺すのだ。トリックも謎解きも冴えないが、屋根裏の散歩者という設定、そこから覗くオモテの世界、そして殺人。このプロセスの非現実差が幻惑的で、陶酔させられる。