夏のドラマが始まって少し経つが、窪田正孝主演の『僕たちがやりました』しか見ていない。結構面白くて、毎週見てしまう。他の作品も録画はしているが、撮り溜めているだけで見ていない。『ハロー張りネズミ』だけは見ても良いかな・・・太った瑛太を見るために。
窪田は28歳にして高校生を演じている。全く高校生に見えない訳でもないので、彼は童顔なのだろう。笑うと頬に深い皺が表れるので、老けてるなあと思ってしまう場面はあるが。
額をほとんど見せない前髪を、疾走と共にビュンと風になびかせる感じは確かにかっこいい。妹からは敬遠されているし、イケメンの友達がいるので持てないように思ってしまうが、レンコというかわいい幼馴染の同級生から一目置かれているのもよく分かる。レンコを演じているのはUQモバイルの妹役の子だ。CMを見ていると、私はあんまり好きじゃないように思っていたが、ドラマで見るとかわいい。こんな子に好かれているのだからうらやましい限りである。演じているのは、セクシーさと、清潔さが混交した独特の存在感の女優(名前が出てこない)でちょっと気になる。
トビオ(窪田正孝)、イケメンとキノコ頭の友達の3人組は、とにかくバカで、毎日をいかに楽しく過ごすかということしか考えていない。バカなことをすること、遊び、恋愛、セックスへの憧れ。だが、男子高校生なんて、こんなもんだったと思う。よほど、勉強とか部活とかに打ちこんでいない限りは。高校3年あたりから、男子は社会に出ようとするための厳しさを学んでいく訳だし、彼らも潜在的にはそのことを考えてはいるのだが、まだ社会が現前していない状況にあっては、いかに毎日を楽しく過ごすかということだけに焦点をあてているのである。
あんまりテレビドラマや映画で、バカ騒ぎする男子高校生を描いた作品を見た例がないので、『僕たちがやりました』はちょっと変わっているように感じた。まあバカ騒ぎする中学生を描いた漫画なら、だいぶ古い例だが『稲中卓球部』なんていうのもあるが、あれはリアリティがない。
私は、このバカ騒ぎするだけの男子高校生の風景がリアルなので、ガス・ヴァンサントの傑作『エレファント』を思い出した。『エレファント』はバカ騒ぎする男子は出てこないが、私が言いたいのは、どこにでもいる男子高校生の普通の物語を映像で見ることの楽しみである。それは、ときたま見たくなる、快楽だ。だって、みんながみんな、純粋じゃないし、勉強ばっかりしている訳じゃないもんね。だから『僕たちがやりました』のバカ男子高校生に私は共感するのかもしれない。郷愁、懐旧、などの感情と共に。懐かしさを覚える。