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【書評】 美徳のよろめき 著者:三島由紀夫 評価☆★★★★ (日本)

美徳のよろめき (新潮文庫)

美徳のよろめき (新潮文庫)

三島由紀夫の『美徳のよろめき』は、人妻節子の不倫物語である。通俗的なタイトル通り、軽いタッチで描かれている。エンターテインメントに属するものだろう。三島由紀夫は『美徳のよろめき』に限らずエンターテインメントをいくつか著しているが、純文学の傑作群と比べると完成度が低い。純文学の傑作群とは『金閣寺』『仮面の告白』『禁色』『宴のあと』等だが、これらに比肩し得るエンターテインメントには、今のところ出会えていない。『夏子の冒険』『命売ります』などが標準レベルだろうが純文学の傑作群には及ばなかった。だが、それらの作品も『美徳のよろめき』に比べればまだ良い作品なのだろう。

節子の夫だけは面白かったが…