- 作者: 三島由紀夫
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1960/11
- メディア: 文庫
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三島由紀夫の『美徳のよろめき』は、人妻節子の不倫物語である。通俗的なタイトル通り、軽いタッチで描かれている。エンターテインメントに属するものだろう。三島由紀夫は『美徳のよろめき』に限らずエンターテインメントをいくつか著しているが、純文学の傑作群と比べると完成度が低い。純文学の傑作群とは『金閣寺』『仮面の告白』『禁色』『宴のあと』等だが、これらに比肩し得るエンターテインメントには、今のところ出会えていない。『夏子の冒険』『命売ります』などが標準レベルだろうが純文学の傑作群には及ばなかった。だが、それらの作品も『美徳のよろめき』に比べればまだ良い作品なのだろう。
節子の夫だけは面白かったが…